施工管理の現場で測量は欠かせない業務のひとつですが、新入社員の頃はその目的や使い分けを正しく理解できず、戸惑うことも多いでしょう。
私は基本的な部分がよく理解できていないまま、先輩と測量していたため、覚えが悪かったです。
今回は、測量の基本的な考え方や現場で役立つコツ、そして精度とスピードのバランスについてわかりやすく解説します。
以下の内容は、測量を実務として行う人は当たり前にやっていることですが、測量の教科書には載っていない内容です。
これを機に、測量スキルをレベルアップさせていきましょう。
測量は大きく2種類に大別できる!
測量には大きく2つの方向性が存在します。
主にここではレベルと光波について書きますが、ほかの測量についても同じことが言えるはずです。
設計図面上の座標や高さを現場へ反映する
例:掘削時の上張り高さを出す、コンクリート打設前の型枠・鉄筋に基準高さを出す、など
ポイント: 「設計値を現場に落とし込む」作業
現地の実際の座標や高さを求める
例:横断測量や基準点新設など、現場の現況把握
ポイント: 「現場の実態を正しく計測する」作業
新入社員の頃は、この2つの違いが曖昧だと全体像が見えにくくなります。
まずは、「設計値を出す測量」と「現況を測る測量」 を明確に区別しておきましょう。
測量する際の注意点
イメージを持って臨む
「出したい点」を事前にイメージすることで、調整回数を減らし、測量作業が効率化します。
例えば、高さを出す際に、出したい高さより50cm離れている場合と10cm以内になっている場合では測量のスピードが変わります。
できるだけ一回目で出したい点に近づけられるように意識して測量しましょう。
また、イメージがあると、大きなズレに気づきやすくなり、手戻りを防ぐことが可能です。
ポイント:
- 測量開始前に「ここに高さや基準点を出す」という具体的イメージを頭に描く
- イメージがあることで、明らかに異常な数値や位置ズレに即座に気づける
測量中は基準になる点から確認する
測量中には何らかの基準になる点を押さえておくと、途中で測定値が正しいかどうか判断しやすくなります。
例えば現地盤から10cm上がるはずなのに20cm上がっていたらすぐにおかしいと気が付けます。
何も意識しないで測量を進めると大きな手戻りになることもあります。
ポイント:
- 基準になる点を決め、その点との比較で測定値の妥当性を確認
共通して重要なのは「お互いが確認し合う」こと
機械操作担当と手元担当、双方のチェック
測量は通常、機械操作担当と手元担当の2人体制です。互いに気が付きやすい点が異なるため、ダブルチェックが欠かせません。
- 機械操作担当:機械の異常や読取り値のエラーに気づきやすい
- 手元担当:現場に立ちながら明らかなズレや違和感を察知しやすい
特に手元担当は、現場に直接触れる立場であり、「異常にいち早く気づく」「正確な位置を意識しやすい」 という点で重要度が高いといえます。
測量直後の再確認
測量が終わったら、作業終了というわけにはいきません。
それは、測量直後に測量があっているか確認をして、間違いがなければ作業完了となるからです。
測量直後は本人は当然合っているだろうと思っているので、一番間違いに気が付きにくい精神状態だとおもいます。
しかし、測量直後の確認は測量の記憶が明確なので、間違いに一番気が付きやすいタイミングだといえます。
実際に何度も確認作業の時に間違いに気が付いた時があります。
- 測量直後の再確認:測量直後なので間違いに気が付きやすい
忙しい時でも必ず確認作業までを行いましょう。
忙しい時ほどミスも発生しやすいです。
精度とスピードのバランスを考える
測量には精度とスピードのトレードオフ関係があります。
測量になれるまでは、スピードより精度優先です。その点は十分に注意しましょう。
必要精度を事前に見極める
- 高精度求む場面:1~2mm単位での正確さが必要なときは、慎重に時間をかける
- そこまで精度不要な場面:おおまかな高さ把握で十分な場合は、時間短縮を優先
事前に「どれほどの精度が求められるか」を検討し、それに見合った作業計画を立てることで、効率的な測量が可能になります。
慣れてくれば直感的にわかるようになりますが、迷ったら出来形管理基準などを参照して判断しましょう。もちろん周りの社員に教えてもらうのが一番早いです。
まとめ
- 測量は2つの方向性を理解することから:設計値反映と現況把握を区別
- イメージの明確化で効率UP:出したい点を明確に思い描いてから測る
- 基準点の活用:現地の位置や高さ測定では、基準になる点から精度確認
- ダブルチェックが基本:機械操作担当と手元担当が互いに注意を払う
- 測量後の確認:測量直後に測量が正しいか確認
- 精度とスピードのバランス:求められる精度に応じて作業計画を最適化
これらを意識することで、測量スキルは着実に向上します。若手のうちから基礎をしっかり押さえ、実務での精度と効率を高めていきましょう。