現場監督にとって最も重要な道具の一つが「コンベックス」です。人によっては「スケール」と呼ぶこともありますが、ここではおすすめのコンベックスやその選び方について説明します。
ホームセンターのコンベックスコーナーを見れば、似たような商品がたくさん並んでいるのに気づくでしょう。確かに多くの製品が似ていますが、細かな部分で違いがあります。
選び方を間違えると、自分のニーズに合わないものを購入してしまうことにもつながります。
まず、現場監督がコンベックスを選ぶ際に必ず守ってほしい注意点が2つあります。
必ず守ってほしい2つの注意点
1つ目は、JISマーク付きのものを選ぶことです。JISマーク付きであれば、精度が保証されており安心です。
ホームセンターや百均で安価なものが販売されていますが、それらの中にはJISマークが付いていないものもあります。
現場監督として「正確な構造物を作る」ことを証明するためには、JISマーク付きのコンベックスが最低限必要です。
2つ目は、センチメートル単位の目盛りが付いたものを選ぶことです。
一見当たり前のことのように思えますが、コンベックスの中には尺単位の目盛りが付いたものもあります。
同じ棚に並んでいると見分けがつきづらく、誤って購入してしまうこともありますので、パッケージをよく確認してから購入しましょう。
実際におすすめのコンベックス選びのポイント
次に、私自身がコンベックスを選ぶ際のポイントを5つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
バネがステンレス製かどうか
長く使用する上で、バネがステンレス製であるかどうかは非常に重要です。
現場では外での作業が多く、雨や地下水にさらされることが頻繁にあります。そのため、通常のバネは腐食しやすく、最終的には切れてしまうリスクがあります。
一方で、ステンレス製のバネは錆びにくく、結果として長持ちします。
もちろん、ステンレス製だからといって絶対に切れないわけではありませんが、耐久性が確実に向上し、結果として長期的に見ればコストの削減にもつながります。
逆にデメリットとして、値段は高くなります。外見だけでは違いがわからないので、費用対効果がわからないと思います。しかし、使っていく程にステンレスバネの効果を実感できます。
ベルトに固定できるホルダーが付いているか
ベルトに確実に固定できるホルダー付きのコンベックスを選ぶと、作業中に落としたり、なくしたりするリスクが減ります。
高所作業や掘削現場で道具を落とすと、非常に危険であり、最悪の場合は事故につながる可能性もあります。そのため、安全面からもホルダー付きが望ましいです。特に高所作業では、工具が落下すると下にいる作業員に大きな危険を及ぼすため、確実に固定できるホルダーが必要です。
また、毎回決まった場所に固定できるため、作業効率も向上します。
腰袋に入れた道具は必要なときに取り出しにくいものです。
作業中に道具を探す時間を削減できることは、結果的に作業全体のスピードアップにつながります。コンベックスを腰のベルトに固定することで、手がふさがることなく他の道具を使用したり、作業中にスムーズに動けることも利点です。
ホルダーが付いていることで、コンベックスの取り外しや装着が簡単になり、作業中のストレスも軽減されます。
さらに、道具を腰に固定することは、道具の紛失防止にも効果的です。
現場では、道具を一時的に置いたまま移動することがあり、その際に道具を置き忘れたり、なくしてしまうことがよくあります。
ホルダー付きのコンベックスを使用することで、常に身につけておけるため、道具の管理が容易になります。
特に忙しい現場での作業では、こうした小さな工夫が大きな違いを生むことが多いです。
先端に磁石が付いているか
先端に磁石付きのコンベックスは、特に鉄筋や足場のある工事で非常に便利です。
鉄にピタッとくっつけることで、ピッチ割りや寸法測定が簡単にできるため、作業効率が格段に向上します。
例えば、鉄筋のピッチ間隔を素早く正確に測定する必要がある場面などは磁石付きのコンベックスがあると大変便利です。
また、本来の使い方ではありませんが、狭い場所に落ちた鉄屑を拾う際にも磁石は非常に有効です。
検査前やコンクリート打設前に、鉄筋の隙間や型枠の下に入り込んだ結束線を簡単に拾い集めることができます。
特に発注者の検査が控えている際には、隅々まで清掃を行う必要があるため、この機能が役立つ場面があります。
さらに、磁石は意外と強力で、道具や小さな金属部品を落とした際にも拾うことができます。
例えば、小さなネジやボルトはもちろん拾えますが、ラチェットなどの重いものでも拾うことができます。
このように、磁石付きのコンベックスは、ただ寸法を測るだけでなく、困ったときに役立つアイテムです。
目盛り部分が厚く丈夫か
目盛り部分が厚く丈夫なコンベックスは、1人での測定時に便利です。
特に空中や真上にコンベックスを伸ばして測定する場合、目盛りが折れにくいことが重要です。
私は幅25ミリのものを使っていますが、軽量でコンパクトなものが良ければ幅19ミリのものも選択肢としてあります。
目盛りのコーティング
せっかく大切に使っても、目盛りの印刷が擦れて消えてしまうことがあります。
コーティングがされているものを選ぶことで、目盛りの耐久性が向上し、長く使うことができます。
検査や写真撮影で目盛りがしっかり見えることは大切ですので、この点も考慮しましょう。
おすすめコンベックス 5選
いつも使っているメーカーがTajimaなので、おすすめもこのメーカーで統一しています。
このメーカーの製品であれば、間違いないですが、特におすすめのものを挙げていきます。
ロック 25mm幅5.5m セフ

必要最低限の機能が揃っているコンベックスです。
土工事などの比較的コンベックスが壊れやすい状況で使用するときは、比較的安価なこちらがいいです。
ステンレスバネ ☓
ベルト固定 ◯
磁石 ☓
目盛り厚さ ☓
コーティング ☓
剛厚ロック 25mm幅5.0m セフマグ

シンプルで使いやすく、比較的安価です。
ステンレスバネ ☓
ベルト固定 ◯
磁石 ◯
目盛り厚さ ◯
コーティング ☓
スパコン 25mm幅5.5m セフ

体感上、一番長持ちするコンベックスです。
個人的には最も使用頻度が高いかも知れません。
ステンレスバネ ◯
ベルト固定 ◯
磁石 ☓
目盛り厚さ ☓
コーティング ◯
剛厚Gステン 25mm幅5.0m セフマグ

目盛りのコーティングはありませんが、長持ちします。
高いのがネックですね。
ステンレスバネ ◯
ベルト固定 ◯
磁石 ◯
目盛り厚さ ◯
コーティング ☓
剛厚スパコン 25mm幅5.0m セフマグ

私の中では全部入りの高級品です。
大切に使えば、かなり長持ちしますよ。
ステンレスバネ ◯
ベルト固定 ◯
磁石 ◯
目盛り厚さ ◯
コーティング ◯
まとめ
以上、コンベックス選びのポイントを紹介しました。
磁石のあり・なしや目盛りの厚さは紹介した商品の別の仕様のものがあるので、自分にあったものを探してみると良いでしょう。
もっと多機能で値段が高いものもありますが、どんなに大切に使っても、ある程度消耗品として割り切る部分も必要です。
たくさん使用した上で壊れたら、また買い直しましょう。
現場監督として日々の作業をより効率的に、安全に進めるために、ぜひこれらのポイントを参考にしてみてください。